いざホイールナットを外そうとしたら、
- ナットが緩まなかったり
- 空回りしてる感じがしたり
ホイールナットが取れなくてお困りでしょうか?
今回はプロの整備士である私が原因別にて、ホイールナットの取り外し方法をご紹介します。
ホイールナットはずれない原因別の外し方
「ホイールナットが外れない」といっても原因は様々です。
- ホイールナットの締まりすぎ
- 錆による固着
- ロックナットがない
- ホイールナットの頭がなめている
- ハブボルトの損傷
単純に締めすぎの場合は適切な工具を使うことで解消できますが、ロックナットの紛失やすでにナットの頭がなめている状態などでは特殊な方法で取り外しをします。
それぞれの対処法や適切な工具の紹介を含めながらご紹介しますね。
ホイールナットの締まりすぎ
まず、単純にホイールナットが締まりすぎで取れない場合の取り方を紹介しましょう。
女性の方ですと力が弱くホイールナットが緩まないということもあるでしょう。
この場合は適切な工具を使うことでホイールナットを緩めることでができます。
残念ながら車に搭載されている車載工具は柄が短く、ホイールナット十分に力が伝わらないので、かなり力を使い外しにくい工具なんです。
さらにホイールナットを規定トルクで締めていれば緩みやすいのですが、インパクトレンチなどでオーバートルクで締め付けていると簡単に緩みません。
そこで、十字レンチもしくはエクステンションレンチなど専用の工具を使うのがいいでしょう。
個人的には力の入りやすいエクステンションレンチをオススメしたい。
柄が長いので小さな力で大きな力を伝えることができます。
手元に車載工具しかないのであれば、車載のレンチにパイプをかけることによって少ない力で大きな力を伝えることができます。
工具がないからと言ってレンチを足で踏む行為はホイールナットの損傷になるためやってはいけません。
レンチを踏まない!
出来ればエクステンションレンチなどを常に車に乗せておくと安心です。
錆による固着
錆による固着の場合は潤滑剤を塗布しよう。とはいえホイールナットが締め付けられているのでなかなか潤滑剤が錆まで到達しない。
潤滑剤がしみこむまで時間が掛かるので、ホイールナットをヒーターガンで温めるなども効果的だ。
潤滑剤もよく浸透するよくタイプを使うといいでしょう。私はワコーズのラスペネを愛用しています。
ホイールナットの頭がなめている
さて、次は何らかの理由ですでにホイールナットの頭がなめている状態の車の場合です。
ホイールナットの頭をなめた状態と言うのは、ナットの角が丸くなって工具が引っかからない状態のことを言います。
通常のソケットでは空回りしますので、ねめたナットを外すときに使う「ツイスターソケット」を利用しましょう。
ツイスターソケットはなめたナットを回す専用工具で、緩める側に回すとナットに食い込むような構造になっています。
画像引用:Amazon
まずはこれを試したい。
ロックナットを紛失した場合
ロックナットの専用ソケットを紛失した場合も、当然ホイールナットは外れませんよね。
ロックナットとは盗難防止用のホイールナットのことです。
ロックナットの専用ソケットを紛失した場合、取り外す方法は以下の3つ。
- ロックナットの製造元へ連絡し専用ソケットを作ってもらう
- マスターキーを持っているタイヤ屋などに救済してもらう
- ロックナットを破損覚悟で外す
ロックナットで有名な「マックガード」ではキーアダプターの再発行ができます。
スペアーキーコードがあれば必要書類を送れば購入できますし、コードがない場合でも型取りをして注文できます。
マックガードを例にしましたが、他のメーカーの場合は問い合わせをしてみましょう。
ロックナットのメーカーが不明な場合は、タイヤのプロショップなどに相談してみましょう。各ロックナットのマスターキー(業務用)を持っていることがあるので、ロックナットを壊さずに取り外すことができます。
どうしても自分で取り外す場合は、先ほど紹介したツイスターソケットなどを使用して取り外します。
ハブボルトの損傷
ハブボルトのネジ山が痛んでおり、スムーズにホイールナットが回らない場合も想定できます。原因としては締め付け時に「砂などのゴミを噛みこんだ」などが考えられます。
この場合、無理に力を入れて緩めてしまうと、ハブボルトを追ってしまったりするので慎重な作業を心がけたい。
出来れば経験豊富な整備士に任せた方場無難ですが、自分でやる場合は、緩める方向へ回し回らなくなったところで締める方向へ回します。
噛んでいるごみを逃がしながら緩める作業です。
これを繰り返すことで必要以上のトルクがかかりませんので、ハブボルトに損傷を与えず取り外すことができる場合があります。
外れたらハブボルトの損傷具合をチェックして、必要があれば修正をしましょう。
上記のやり方でまだ取れない場合や、ハブボルトが空転している時は、ハブボルトの交換覚悟で取り外します。
方法としては
- ハブボルトを折る
- 溶接して取る
- ドリルでもむ
などがあります。
ハブボルトを折る方法はホイールにダメージを与える可能性がありますし、溶接は設備や経験が必要ですので、個人的にはドリルを使う方法が良いかと思います。
当然どの方法もハブボルトとホイールナットは交換が前提となります。
ドリルでハブボルトを削るイメージですね。
整備工場などに依頼した場合ですと工数1時間程度で、8000円前後の修理費用が掛かるでしょう。
ホイールナットが取れない時の外し方まとめ
- オーバートルクな場合はしっかりと力が伝わる柄の長い工具使う
- サビている場合は潤滑油を浸透させる
- ナットが損傷している時はツイスターソケットなどの専用工具を使う
- ロックナット紛失時は再発行もしくはプロショップに依頼。自分で外す場合はツイスターソケットを使う
- ハブボルト損傷の疑いがある場合は、ドリルでハブボルトを削る
ハブボルトが損傷している場合は修正もしくは交換が必要です。
また、ホイールナットの取り付けは、ゴミを取り除き適切なトルクで適切な方法で取り付けましょう。