ホンダ・バモスのスパークプラグを外したとき、プラグホールにエンジンオイルが溜まっていたことはありませんか?
バモスでは、エンジン内部のOリングが劣化すると、プラグホールにオイルが入り込むことがあります。
特に注意したいのが、ヘッドカバーのプラグホールパッキンだけを交換しても、オイル漏れが直らないケースがあることです。
現役の自動車整備士が、実際に平成23年式・走行10万kmのバモスを修理した事例を紹介します。
今回の原因は、カムホルダーキャップに組み込まれた3個のOリングの劣化でした。
修理費用は部品代2,170円、工賃17,000円の合計19,170円。オイル漏れの原因や放置するリスク、実際の交換方法を写真付きで解説します。
この記事のポイント
- 今回の原因はカムホルダーキャップのOリング劣化
- プラグホールのオイル漏れを放置すると失火につながるおそれがある
- Oリング3個とヘッドカバーパッキンを交換
- 作業時間は2時間、修理費用は19,170円
バモスのプラグホールにオイルが溜まる原因は?
今回のバモスは、スパークプラグにエンジンオイルがべったりと付着する状態でした。

プラグホールとは、スパークプラグを取り付けるための穴のことです。
正常な状態ではプラグホールにエンジンオイルが溜まることはありません。しかし、周辺のシール部品が劣化すると、エンジン内部のオイルが入り込んでしまいます。
カムホルダーキャップのOリングが劣化する
今回の車両で原因となったのは、カムホルダーキャップの裏側にある3個のOリングです。
部品図では、以下の19番に該当するOリングになります。

このOリングは、エンジンオイルがプラグホールに入り込まないように密封する役割があります。
しかし、長年の使用や熱によってゴムが硬化すると、弾力が失われて密封できなくなります。
実際に何台ものバモスを整備してきた経験では、カムホルダーキャップ側のOリングが原因になっているケースを多く見てきました。
今回の車両でも、取り外したOリングは指で曲げると折れてしまうほど硬化していました。
ヘッドカバーパッキンからのオイル漏れとの違い
プラグホールにオイルが溜まっていると、ヘッドカバー側のプラグホールパッキンを疑うこともあります。
しかし、バモスの場合はカムホルダーキャップのOリングが原因になるケースもあるため、漏れ箇所の確認が必要です。
| 漏れ箇所 | 主な修理内容 |
|---|---|
| ヘッドカバー側のパッキン | ヘッドカバーを取り外して該当パッキンを交換 |
| カムホルダーキャップのOリング | ヘッドカバーとカムホルダーキャップを取り外し、Oリングを交換 |
プラグホールにオイルがあるという症状だけで、漏れ箇所を断定することはできません。
修理前に漏れた経路を確認し、原因となっている部品を交換することが重要です。
プラグホールのオイル漏れを放置するとどうなる?
プラグホールのオイル漏れを放置すると、イグニッションコイルやスパークプラグに悪影響を与える可能性があります。
特に注意したいのが、点火電圧のリークによる失火やエンジン不調です。
イグニッションコイルの絶縁不良や失火
スパークプラグは高電圧によって火花を飛ばしています。
プラグホールにオイルが入り込むと、コイルのゴムブーツや周辺部品の劣化・汚れなども重なり、電気が正常に伝わらなくなることがあります。
その結果、次のような症状につながる可能性があります。
- アイドリング中にエンジンがブルブル振動する
- 加速時に息つきやパワー不足を感じる
- エンジン警告灯が点灯・点滅する
- イグニッションコイルやプラグの交換が必要になる場合がある
もちろん、オイル漏れがあるからといって必ず失火するわけではありません。しかし、症状が悪化する前に修理することをおすすめします。
すでにエンジンの振動が大きい、警告灯が点滅しているなどの症状がある場合は、無理に走行を続けず点検を受けてください。
放置すると修理費用が増える可能性も
オイル漏れが軽度で、イグニッションコイルやスパークプラグに異常がなければ、シール部品の交換が中心になります。
しかし、点火系の部品まで損傷している場合は、その交換費用も必要になる可能性があります。
今回のようにプラグホールにオイルが溜まっている場合は、早めに漏れ箇所を確認して修理することが大切です。
エンジンオイル漏れを放置するリスクについては、こちらでも詳しく解説しています。

バモスのプラグホールオイル漏れ修理方法【実作業写真】
ここからは、平成23年式バモスのカムホルダーキャップOリングを交換した作業を紹介します。
- 車種:ホンダ バモス
- 型式:ABA-HM1
- 年式:平成23年(2011年)
- 走行距離:約10万km
- エンジン:ターボ
今回の主な作業工程は、ヘッドカバーの取り外し、カムホルダーキャップの取り外し、Oリング交換、組み付けの順番です。
カムシャフトの保持部を取り外す作業となるため、整備資料に従った分解・組み付けが必要です。
① ヘッドカバーを取り外す
まず、ヘッドカバーを取り外すために周辺の部品を外していきます。
今回のバモスはターボ車で、エンジンが縦置きになっています。
ヘッドカバー周辺にさまざまな部品があるため、作業スペースを確保する必要があります。
今回の作業では、イグニッションコイル、インジェクター周辺、エンジンハーネスなどを必要な範囲で取り外したり移動させたりしました。

電装部品や燃料系の部品を扱うため、接続部の破損や燃料漏れなどに注意が必要です。
ヘッドカバーを取り外すと、エンジン内部が確認できます。

今回の車両は、走行10万kmですが内部に目立ったスラッジの堆積は見られず、比較的きれいな状態でした。
② カムホルダーキャップを取り外す
続いて、カムホルダーキャップを取り外します。
この部分はカムシャフトの保持に関係する重要な部品のため、固定ボルトを指定された順序で緩め、均等に負荷を逃がしながら取り外す必要があります。
今回の作業では、部品がばらばらにならないよう、取り外し時にワイヤーを使って保持しました。

ワイヤーによる保持は今回の作業で行った補助的な方法です。部品の位置関係や組み付け方向を間違えないようにすることが重要になります。
カムホルダーキャップを取り外したエンジン側は、次の写真のようになっています。

カムシャフトやその摺動部に傷を付けないよう、十分な注意が必要です。
③ カムホルダーキャップ裏側のOリング3個を確認
カムホルダーキャップを裏返すと、今回のオイル漏れ原因となったOリングが3個あります。

同時に、カムシャフトが接触する摺動面の状態も確認しました。

今回の車両では、摺動面に目立つ異常は確認できませんでした。
④ 劣化して硬くなったOリングを交換する
取り外したOリングを確認すると、ゴムが硬くなり、厚みもつぶれた状態でした。

さらに驚いたのが、Oリングを曲げると簡単に折れてしまうほど硬化していたことです。

Oリングは本来、ゴムの弾力によって接触面の隙間を密封する部品です。
ここまで硬化してしまうと、密封性が失われてオイルが漏れる原因になります。
新しいOリングには弾力があり、古いものとは状態が大きく違います。

交換時は古いOリングを取り残さず、取り付け溝の汚れや傷を確認します。
新品のOリングを傷つけたり、ねじれた状態で組み付けたりしないよう注意してください。
⑤ カムホルダーキャップを規定の順番で締め付ける
新しいOリングを取り付けたら、カムホルダーキャップを元に戻します。
カムホルダーキャップは、カムシャフトを正しく保持する重要な部品です。指定された締め付け順序を守り、均等に締め付ける必要があります。

今回の整備記録では、カムホルダーキャップの締め付けトルクを22N・mとして作業しています。
ただし、エンジン仕様やボルトによって指定トルクが異なる可能性があるため、実際の作業では対象車両のメーカー整備資料で数値と締め付け順序を確認してください。
締め付け不足だけでなく、締め過ぎによっても部品の損傷や不具合につながるおそれがあります。
⑥ ヘッドカバーパッキンを交換して組み付ける
カムホルダーキャップを組み付けたら、ヘッドカバーを元に戻します。
今回の修理では、ヘッドカバーに使用されているゴムパッキンも新品に交換しました。
一度取り外したパッキンは硬化や変形によって密封性が低下していることもあるため、必要な部品を同時に交換します。
最後に取り外した配線や周辺部品を元に戻し、エンジンの作動状態とオイル漏れの有無を確認します。
プラグホールに残っているオイルも適切に除去し、イグニッションコイルやスパークプラグに異常がないか点検することが重要です。
バモスのプラグホールオイル漏れ修理費用は19,170円
今回のバモスのオイル漏れ修理費用は、部品代と工賃を合わせて19,170円でした。
実際の費用内訳は以下のとおりです。
| 修理内容 | 金額 |
|---|---|
| Oリング3個(130円×3) | 390円 |
| ヘッドカバーパッキンセット | 1,780円 |
| 部品代合計 | 2,170円 |
| 交換工賃(2時間) | 17,000円 |
| 修理費用合計 | 19,170円 |
※作業当時の実例価格です。現在の部品価格や工賃と異なる場合があります。消費税の取り扱いは当時の明細をご確認ください。
今回の作業工数は2時間で、レバーレートは1時間8,500円でした。
部品代はOリングとパッキンのため比較的安いのですが、カムホルダーキャップまで取り外す必要があるため、工賃の割合が大きくなっています。
同じプラグホールのオイル漏れでも、漏れ箇所やエンジンの仕様、同時交換する部品によって修理費用は異なります。
また、イグニッションコイルやスパークプラグまで交換が必要な場合は、別途費用がかかります。
エンジンオイル漏れ全般の修理費用や修理期間については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

バモスのオイル漏れはタイミングベルト交換時に一緒に修理すべき?
今回の車両は走行10万kmでした。バモスのように年式が古くなった車両では、タイミングベルト交換などの大きな整備を行う時期に、ほかのゴム部品の劣化も気になるところです。
整備経験上、バモスのプラグホールのオイル漏れは10万km前後の車両でも見られます。
そのため、タイミングベルト交換などで入庫した際に、プラグホールやオイル漏れの状態を点検しておくことをおすすめします。
ただし、タイミングベルト交換とカムホルダーキャップのOリング交換が、必ず同じ分解工程で済むわけではありません。
同時に修理すると工賃を抑えられるかどうかは、作業内容を整備工場に確認してください。
バモスのオイル漏れは修理と買い替えのどちらがよい?
今回の修理費用は19,170円でしたが、年式の古いバモスではほかの部分にも故障が発生する可能性があります。
特に走行距離が多い車両では、冷却系、タイミングベルト、足回りなどの整備履歴も確認しておきたいところです。
今後も長く乗りたい場合は、必要な整備を行って乗り続ける方法があります。
一方で、ほかにも高額な修理が予定されている場合は、今回の修理費用だけでなく、今後数年間の維持費まで比較して判断するとよいでしょう。
修理を続けるか車を買い替えるかで迷ったときは、こちらの記事も参考にしてください。

バモスのプラグホールオイル漏れに関するよくある質問
プラグホールにオイルが溜まっていても走行できますか?
オイル漏れの程度やエンジンの状態によって異なります。すぐに走行不能になるとは限りませんが、点火系の不具合につながる可能性があるため、早めに点検してください。強い振動やエンジン警告灯の点滅がある場合は、無理に走行しないでください。
プラグホールのオイル漏れ修理費用はいくらですか?
今回のバモスではOリング3個とヘッドカバーパッキンを交換し、部品代2,170円、工賃17,000円の合計19,170円でした。ただし、車種や漏れ箇所、追加修理の有無によって費用は異なります。
ヘッドカバーパッキン交換だけで直りますか?
ヘッドカバー側のパッキンが原因であれば改善する可能性があります。しかし今回のバモスでは、カムホルダーキャップのOリングが原因だったため、その交換が必要でした。
DIYでOリングを交換できますか?
今回の修理ではカムホルダーキャップを取り外す必要があり、カムシャフトの保持部や締め付け順序、規定トルクの管理が重要になります。一般的な消耗品交換より難易度が高いため、整備資料や適切な設備がない場合は専門の整備工場へ依頼することをおすすめします。
まとめ|バモスのプラグホールオイル漏れはOリングの劣化にも注意
今回は、平成23年式・走行10万kmのホンダ・バモスで発生したプラグホールのオイル漏れ修理を紹介しました。
- 今回の漏れ原因はカムホルダーキャップのOリング3個の劣化
- 古いOリングは折れてしまうほど硬化していた
- オイル漏れを放置すると点火系の不具合につながるおそれがある
- 修理ではヘッドカバーパッキンも新品に交換した
- 修理費用は工賃込み19,170円、作業時間は2時間だった
バモスのプラグホールにオイルが溜まっている場合は、ヘッドカバーのパッキンだけでなく、カムホルダーキャップのOリングも漏れ箇所の候補になります。
オイル漏れを発見したら、まず原因を正しく診断し、イグニッションコイルなどに不具合が発生する前に修理を検討しましょう。
バモスのほかの故障・修理事例は、こちらの記事にまとめています。


