CBA-MK21S
スズキ パレット
H20年式 5万キロ
「エアコンの効きが悪い」とのことでご来店
2年前にも同じような修理を違う整備工場でしたとのことです。
結果的には今回の車エバポレータからのエアコンガス漏れと判断しましたが、修理はお金を掛けたくないとのことでエアコンガスの補充のみの修理となりました。
しかし今回のケースは車を修理するお店の選択によっては約5万円損する話ですよ!
エアコンが効かない故障診断
室内を快適にするエアコンは色々な部品が使われており一言に「エアコンが効かない」と言っても様々な故障事例があり修理には経験が必要になってきます。
エアコンが効かないと言っているのに実はブロアモーターが回っていないとか、そもそもシステムは正常でエアコンのスイッチがオフだったとか・・・。
お客さんから情報をもらい現車確認をしていろんな予測を立てある程度の目星をつけて診断にかかります。
今回は2回目の修理と言う事と、エアコンは効いているが冷えが悪いことからすぐに疑うべきはエアコンのガス不足です。
ガス量を測定するとガス不足であることが確認できました。
補充して冷えるようになってOKってわけにはいきません。2年前はそうやって修理(?)しての再発ですからね。
今回のケースは必ず漏れていますからそのチェックをします。
蛍光剤を入れ各部リークテストするもエンジンルーム内は漏れた形跡がないので怪しいのは室内にあるエバポレータです。ガスの検知器でエバポレータに反応が出ましたからエバポレータからのガス漏れで間違いないようです。
エバポレータの保証延長
さて冒頭に言いましたが5万円損する話。
実はこのエバポレータからのガス漏れはメーカーから保証延長になっています。
ワゴンR、アルトラパン、パレット エアコンのエバポレータの保証期間延長について
エアコンのエバポレータが高温多湿の環境下で腐食しやすいため、冷媒が漏れてエアコンが冷え不良となる場合があります。
当該現象が発生した車両については、下記の通り保証期間を延長します。【従来の保証期間】
新車を登録した日から3年間ただし走行距離6万kmまで
↓
【変更後の保証期間】
新車を登録した日から9年間
引用:スズキ
通常3年の保証が倍の9年になっているのです。
今回の車両ではフレーム番号は該当していて対象車種だったのですが9年を数か月過ぎており保証が受けれないこととなりました。
ここで重要なのは2年前にガス漏れで入庫してきた車両を保証延長されている車だと知らず修理者はガス補充だけしていたことだ。(2年前も同じエバポレータからのガス漏れと仮定した話)
この修理の時に保証延長の対応をしていればお客さんは無償で修理を受けれたわけなので余分な出費をしなくて良かったと推測できる。
※保証延長の発表は2015年9月です。
2年前
- ケース1:ディーラへ修理依頼→保証延長で無料修理
- ケース2:保証延長を把握している整備工場→保証延長で無料修理
- ケース3:保証延長を知らない整備工場→有料修理(ガス補充1万円もしくはエバポ交換5万円)
上記にケースを見ると明らかにユーザーが損をする場合がありますね。我々整備工場は常にアンテナを張って有益な情報を把握しておかなければならない。
お客さんとのトラブルになるからだ。
さてこの保証延長だがワゴンR、ラパン、パレットと対象車種が多いこととH26年式まで対象車種が入っていますのでまだまだ保証期間内の車も多いです。
エアコンの効きが悪いと感じたらすぐに整備工場で診てもらい、そこがディーラーでなければ今回の保証延長の話を出してみるのもいいかもしれません。
予断ですがエアコンガスの入れ替え時にはエアコンガスの添加剤などを入れるといいですよ。エアコンシステムの保護や燃費向上などが言われています。
またパレットではエアコンコンプレッサーから異音がする修理をしていますので、合わせてお読みください。
