フィットハイブリッドやヴェゼルハイブリッドのブレーキフルード交換では、車両のブレーキシステムに応じた作業手順の確認が必要です。
私が車検で作業したGP5フィットハイブリッドでは、POWERスイッチをONにした状態での交換に加え、OFFにして3分間待ってから、もう一度各輪の交換を行いました。
この記事では、GP5で実際に行ったブレーキフルード交換の流れと、作業中の注意点、交換後に表示された警告灯・診断機に残った故障履歴について紹介します。なお、ブレーキフルードは「ブレーキオイル」と呼ばれることもあります。
対象車種|フィット・ヴェゼルは型式ごとの確認が必要
今回の作業写真と実体験は、GP5フィットハイブリッドのものです。
ブレーキフルード交換前の注意点
- 対象車両の整備要領で、交換方法・作業順序・指定フルードを確認する
- フルードの液面を管理し、リザーバータンクを空にしない
- POWERスイッチをOFFにした後の待機時間と、ドア開閉・ブレーキペダル操作の制限を守る
- 作業後は液量・漏れ・ペダルの状態・警告表示・故障コードを確認する
GP5フィットハイブリッドの指定フルードは、Honda純正ブレーキフルードDOT3またはDOT4です。他の型式についても、その車両の指定を確認してください。銘柄や規格の異なるフルードを自己判断で混用せず、指定されたものを使用します。
以下は、整備経験者向けに作業の流れをまとめたものです。ブリーダーの操作方法や締付トルクなどを含む、メーカー整備要領の全項目を掲載したものではありません。
GP5フィットハイブリッドのブレーキフルード交換手順
今回行った作業のポイントは、POWER ONでの交換と、POWER OFF後の交換を分けて行うことです。各工程で4輪を回るため、車両を2周する流れになります。
①リザーバータンクのフルードを入れ替える
- リザーバータンクのキャップとフィルターを取り外します。
- エアを吸い込ませないよう注意しながら、タンク内の古いフルードを吸い取ります。
- 指定の新しいフルードをMAX線まで補充します。
各輪からフルードを排出している間も液面を確認し、適宜補充します。タンクを空にしてしまうと、単なるフルード交換では済まなくなるため注意が必要です。
②POWER ONで1回目の交換を行う
POWERスイッチをONモードにして、次の順番で各輪のブレーキフルードを交換しました。ここでいうONは、READY状態と混同しないようにしてください。
作業時に確認した整備要領では、この工程はタンデムモータシリンダ側のフルードを交換する工程でした。各輪での具体的な排出操作は、対象車両の整備要領に従います。
③POWER OFFにして3分間待つ
1回目の交換が終わったら、POWERスイッチをOFFにして3分間待ちます。
この待機は、電動サーボブレーキシステムをシャットダウンさせるためのものです。途中でドアを開閉したりペダルを操作したりすると、システムが起動し、想定した状態で交換できなくなる可能性があります。
作業中に車内へ出入りする必要がないよう、POWERスイッチをOFFにする前に段取りを整えておきます。
④POWER OFFのまま2回目の交換を行う
3分間待機した後、POWERスイッチをOFFにしたまま、もう一度次の順番で交換しました。
フロント右 → フロント左 → リヤ左 → リヤ右
作業時に確認した整備要領では、この工程はペダルフィールシミュレータ側のフルードを交換する工程でした。この工程でもブレーキペダルは操作せず、整備要領に指定された排出方法で作業します。
1回目と同じように4輪を回りますが、システムの状態と操作条件が異なります。「同じ作業をもう一度」と捉えず、工程ごとの条件を確認することが大切です。
⑤交換後の警告表示と車両の状態を確認する
交換作業が終わったら液量を確認し、取り外した部品を復元します。
今回のGP5では、交換後に電動サーボブレーキの警告が表示されました。作業時に確認した手順に従い、POWERスイッチをONにしてブレーキペダルを踏み込み、3秒間保持することで警告表示は消えました。
ただし、この操作ですべてのブレーキ警告を消せるわけではありません。警告が残る場合やペダルの感触に異常がある場合は、故障コードと作業状態を確認する必要があります。
実際に作業して感じたこと|右前から2周する点に注意
普段のブレーキフルード交換と比べて、まず違いを感じたのはフロント右から作業することでした。慣れた順番で進めず、その車両の整備要領に合わせる必要があります。
また、今回は4輪を2回ずつ回るため、通常の交換より手間がかかりました。私がこの車両で作業した際は、フルードの使用量も普段の交換のおよそ2倍になりました。
これは今回の作業での実績であり、すべての車両で必要量が2倍になるという意味ではありません。排出量や必要な準備量は、対象車両の整備要領と作業条件に合わせて判断します。
警告灯が消えても診断機に故障履歴が残っていた
今回の作業では、交換後にメーター内へブレーキ関連の警告が表示されました。

前述の操作で警告表示は消えましたが、スキャンツールで確認すると故障履歴が残っていました。

この経験から、メーターの警告が消えたことと、診断機上の故障履歴がなくなったことは分けて確認する必要があると感じました。
作業後は故障コードの内容を確認・記録し、現在も異常があるのか、交換作業に伴う履歴なのかを判断します。必要な処置を行ったうえで、整備要領に従って履歴を消去し、再検出がないか確認します。
警告灯や故障コードを消すだけで作業完了とせず、液量、漏れ、ペダルの状態なども含めて最終確認することが大切です。
まとめ|型式に合った手順と交換後の確認が大切
今回のGP5フィットハイブリッドでは、POWER ONでの交換と、POWER OFF後に3分間待機してからの交換を行いました。
- 今回の作業順序は、右前→左前→左後→右後
- POWER OFF後は3分間待機し、2回目の交換終了までドア開閉・ペダル操作を行わない
- 交換後は警告表示だけでなく、診断機上の故障履歴も確認する
- ヴェゼルや別型式のフィットへの適用は、それぞれの整備要領で確認する
同じHondaのハイブリッド車でも、車名だけで交換方法を判断せず、対象車両の資料を確認して作業しましょう。
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