N-BOXでスタートボタンを押しても、カチッと音がするだけでセルモーターが回らない。バッテリーを交換しても改善しないと、ほかに何が悪いのか気になりますよね。
今回整備したN-BOX(JF1)は、セルモーター本体の不良でした。走行距離は約2万km。バッテリーや電源系を確認したあと、取り外したセルモーターの単体点検でも不具合を確認しました。
この記事では、実際の写真と診断機の画面を使い、故障診断・交換部品・スターターリレーの場所・修理当時の費用を紹介します。
同じ症状でも、必ずセルモーターが原因とは限りません。バッテリーや配線、始動制御などを含めた点検が必要です。また、本記事はJF1の修理事例で、JF3など別型式の部品配置や作業手順を示すものではありません。
N-BOX(JF1)のセルモーター交換費用|今回の修理実例
今回の修理は、セルモーターに加えてスタータカットリレー2個とオイルプレッシャースイッチを交換しました。元の整備記録に掲載した費用の内訳は、以下のとおりです。
| 項目 | 修理当時の金額 |
|---|---|
| セルモーター | 43,000円 |
| スタータカットリレー2個 | 2,380円 |
| オイルプレッシャースイッチ | 2,230円 |
| 部品代小計 | 47,610円 |
| 工賃(工数1.3H) | 11,050円 |
| 消費税 | 5,866円 |
| 合計 | 64,526円 |
これは純正部品を使用した、この車両の修理当時の一例です。現在の見積額や、すべてのN-BOXの交換相場を示すものではありません。部品価格、使用部品、車両仕様、同時交換の内容などで金額は変わります。
見積もりを比較するときは、セルモーター単品の価格だけでなく、リレーなどの関連部品・工賃・診断料・消費税・保証の範囲も確認してください。
修理費用を払う前に|セルモーター関連のリコールを確認
N-BOXのセルモーター関連では、一部車両を対象とするリコールがあります。「JF1ならすべて対象」「セルモーターの故障なら必ず無料」とは限らないため、車台番号での確認が必要です。
Hondaが2014年10月2日に届け出たリコール(届出番号3442)では、ECUのプログラム不具合により再始動できなくなるおそれなどが説明されています。アイドリングストップ装着車では、再始動時にスターターモーターが損傷する場合もあるとされています。
このリコールの対策には、ECUのプログラム書き換えと、スターターモーターの点検・損傷がある場合の交換が含まれます。
参考:Honda公式:N-BOX、N-BOX Customなど5車種のリコール(届出番号3442)
対象範囲と実施状況は、Honda公式のリコール等情報から車台番号で確認し、不明な場合はHonda販売店へ相談してください。今回の修理車両がこのリコールの対象だったか、実施済みだったかは、本記事の記録からは確認できません。
カチッと鳴るだけでセルが回らない|故障診断の流れ
バッテリーと電源系を確認してから本体を点検
今回の入庫時の症状は、カチッと音がしてもセルモーターが回らず、エンジンがかからないことがある、というものでした。点検は次の順で進めています。
- 始動できない症状の確認
- バッテリーの状態確認
- 電源系の点検
- 取り外したセルモーターの単体点検
点検の結果、セルモーター本体が疑われたため、車両から取り外して単体で確認しました。

単体点検でも、カチッと音がするだけでモーターがスムーズに回らないことが度々ありました。車両側の点検結果と合わせて、セルモーター本体の不良と判断しました。
音だけでバッテリー不良とセルモーター不良を区別するのは困難です。バッテリーを交換したばかりでも、端子や配線などを含め、順に確認する必要があります。
走行約2万kmでも不具合が出ていた
今回、私が気になったのは走行距離が約2万kmと少なかったことです。取り外した部品は分解した状態も記録しました。


JF1のスターターリレーはどこ?実車写真で確認
今回の車両で確認・交換したスタータカットリレーは、エンジンルーム内のヒューズ・リレーボックスにある2個です。次の写真の赤枠が、今回交換したリレーの位置です。


スターター回路のリレーや配線などに不具合があっても、セルが回らなくなる場合があります。リレーの場所が分かっても、そこが故障原因とは限りません。
手当たり次第にリレーを入れ替えたり、端子を短絡させたりせず、該当車両の整備情報に沿った点検を依頼してください。JF3など別型式のリレー位置を、この写真から判断することも避けましょう。
セルモーター交換時に行った作業
純正セルモーターと関連部品を交換
今回は純正のセルモーターを使用しました。写真は交換前後の部品です。

注文時には部品番号の変更も確認しました。ただし、品番が変わったことだけで、対策内容や耐久性の向上まで断定することはできません。
この車両の作業時に確認した整備マニュアルでは、セルモーター交換に伴い、スタータカットリレー2個とオイルプレッシャースイッチの交換が指定されていたため、同時に交換しました。必要な作業は車両仕様と該当する整備情報で確認してください。

スターター作動回数を確認・リセット
修理時に診断機で確認した「アイドリングストップスターター作動回数」は、21,310回でした。

当時、販売店へ問い合わせた際には「2万回を超えたら交換時期」という説明を受けました。これは、この修理時に受けた説明として紹介しています。すべてのN-BOXが2万回で故障する、あるいは一律に交換が必要という意味ではありません。
今回の交換判断は、作動回数だけではなく、実際の始動不良と単体点検の結果に基づいています。
新品への交換後は、診断機で作動回数をリセットしました。次の写真では0回になっていることが分かります。

アイドリングストップ警告灯が気になる場合は、警告灯とバッテリー交換後の作業を扱った関連記事もあります。対象車両や原因によって必要な作業は異なるため、初期化だけで故障が直るとは判断しないでください。

同じ「セルが回らない」でも原因は複数ある
今回の原因はセルモーターでしたが、始動できない車すべてに同じ修理が必要なわけではありません。代表的な確認箇所は以下のとおりです。
- バッテリーの状態や端子の接続
- 電源配線・アース・ヒューズ・リレーなど
- スタートスイッチや始動許可に関わる系統
- セルモーター本体
また、「セルが回らない」と「セルは回るがエンジンがかからない」では、診断の進め方が変わります。整備工場へ連絡するときは、音、メーターの表示、発生するタイミング、バッテリー交換歴などを伝えると、状況を共有しやすくなります。
原因が分からない段階の基本的な確認事項は、次の記事で紹介しています。

始動できない状態で無理に操作を繰り返さず、安全を確保して整備工場や加入しているロードサービスへ相談してください。
まとめ|JF1のセルモーター交換は診断・関連部品・費用を確認
今回のN-BOX(JF1)は、走行約2万kmでセルが回らない症状があり、点検の結果セルモーター本体の不良と判断しました。純正セルモーターと関連部品を交換し、診断機で作動回数のリセットを行っています。
修理当時の掲載明細では合計64,526円でした。現在の費用は車両や修理内容によって異なります。見積もりでは同時交換部品や診断料も確認し、あわせて車台番号によるリコール対象・実施状況の確認をおすすめします。

