ガソリンエンジンで使われているイグニッションコイルという部品。イグニッションコイルが故障するとエンジンがブルブルと震え、不調となる定番の故障です。
この記事では現役の車屋がイグニッションコイルについて解説しますね。
イグニッションコイルとは?
イグニッションコイルは、自動車のエンジンを始動させるために必要な点火装置であり、スパークプラグという部品に高電圧の放電を供給します。
イグニッションコイルは自動車の12ボルトバッテリーから受け取った電力を増幅し、20,000ボルト~35,000ボルトといった高電圧に変換する役割を果たします。
故障するとどんな症状になる?
イグニッションコイルが故障すると、失火するためエンジンがブルブルと震えたり、アクセルを踏んでもパワーが出ないといった症状が出ます。
エンジンチェックランプなどの警告灯が点灯する場合もありますが、警告灯が付かない場合もあります。
イグニッションコイルが故障すると、スパークプラグに電圧が供給されなくなり、燃焼室に火花を飛ばせなくなります。そして燃料に点火できず未燃焼となります。
軽自動車など3気筒エンジンなどは、1つの気筒が失火してしまうと、エンジンの振動も大きくなりパワーロスも大きいです。
走行していても不安が出るような症状が出るので、早急な修理が好ましいです。
そのまま走行しても大丈夫?
ではイグニッションコイルコイル不良のような症状が出た場合、そのまま走行しても大丈夫なのでしょうか?
走行ができるかできないかと言えば、走行は可能ですがおすすめはしません。
走行には当然リスクがあります。
- パワー不足による走行性能の低下
- 走行時のエンスト
- 触媒の劣化
1気筒が失火しており、従来のエンジンの性能以下での走行となる。またパワー不足によるエンストも可能性として考えられますので大変危険です。
また失火しているということは未燃焼ガスを出している状態です。排ガスを綺麗にする役割のある触媒に大きな負担がかかり、触媒劣化につながります。
イグニッション故障による失火の場合、走行は可能だが極力レッカーサービスなどを呼び修理工場へ入庫させるか、修理工場までの緊急的な走行にとどめておきましょう。
イグニッションコイルが故障する原因は?
ではこのイグニッションコイルが故障する原因は何でしょうか?
イグニッションコイルの故障原因は主に2つあります。
- 経年劣化
- スパークプラグ劣化による要求電圧の上昇
経年劣化が進むと、イグニッションコイル内のコンデンサー、リレーなどの内部部品の損傷、絶縁材料の損傷、コイルの銅線などの不良などが故障原因になります。
またスパークプラグが劣化していると、イグニッションコイルへの要求電圧が大きくなり、イグニッションコイルに負担がかかるため故障してしまいます。
イグニッションコイルが故障した場合、修理は交換するしかありません。
故障する前に前兆はあるのか?
イグニッションコイルが故障する前に前兆はありません。
イグニッションコイルの故障は突然やってくるため前兆はありませんが、故障度度合いが違うため走行の違和感を早めに感じとることで重症化を防ぐことができます。
完全に失火してしまうと、断続的にエンジン不調となりますが、「時々加速不良になる時がある」「エンジンが息継ぎをしている」などの症状がでたら、イグニッションコイルの故障になっているかも知れません。
早めに整備工場へで診てもらうようにしましょう。
イグニッションコイルの寿命は?
ではイグニッションコイルの寿命はどのくらいなのでしょうか?
冒頭「イグニッションコイルの故障は定番」と言いましたが、寿命は一概には言えません。
20万キロ無交換の車もあれば、10万キロ以下で故障することもあります。車種や使用条件、メンテナンスの状態によって異なるためです。
通常、予防整備でイグニッションコイルを交換することはほとんどありません。むしろ、「故障したら交換する」といった対応が一般的です。
イグニッションコイルの交換にかかる費用は?
交換にかかる費用は車種によって異なりますが、参考までにステップワゴン(RP1)の概算見積もりを出してみます。
イグニッションコイルは純正部品ですと割高なので、社外品の使用で修理費用を抑えることができます。
イグニッションコイル (社外品) | 32,000円 (4×8,000) |
スパークプラグ (社外品) | 8,800円 (4×2,200) |
交換工賃 | 6,000円 |
合計 | 46,800円 |
イグニッションコイルは故障した1本のみの交換で症状の改善はしますが、他の3本はいつ壊れてもおかしくない状態です。できれば全数交換をオススメしますが、修理費用がそこそこしますね。
修理費用を抑えたい場合は1本のみの交換する場合もありますので、修理工場と相談するようにしましょう。
スパークプラグについては、交換時期になっていれば交換をしましょう。
工賃ですが、イグニッションコイルにすぐにアクセスできる車両については5,000円前後になりますが、インマニの取り外しが必要な車両で工数が上がれば、工賃がグッと上がってきます。
まずは整備工場で見積りを取って確認するのがいいでしょう。
イグニッションコイルが故障したら車の買い替えのサインかも
イグニッションコイルの故障は定番ですが、故障した場合は車の買い替えのサインかもしれません。
経年劣化が原因の場合は、ほかの部品の寿命も近いことを意味します。「故障の連鎖」が起こると精神的にもお財布にも優しくありませんからね。
年数が経っていたり、走行距離が延びている場合は車の買い替えを検討するのもいいですね。
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