こんにちは整備士ノート510です
今回は「しばらくするとエアコンの冷風が出なくなる」と言う症状で入庫した、ホンダのフリード(GB3)の故障修理のレポートをしますね。
エアコンが効かなくなる原因は多岐にわたりますが、その中でも定番な故障原因は以下の3つだと思います。
- エアコンガス漏れ
- マグネットクラッチ不良
- リレー不良
そして今回の故障もこの中の「マグネットクラッチ不良」でした。
と言うことでこの記事ではマグネットクラッチ不良によるエアコン故障の修理の様子、修理費用までレポートしますので、
- 最近エアコンの利きが悪い
- 突然エアコンが効かなくなった!
- エアコン修理費用っていくらなの?
なんて気になる方はご覧くださいませ。
「エアコンが効かなくなる」故障修理
症状の確認
まずどんな症状なのかをしっかり問診して再現することが、故障診断の近道となります。
お客さんからの情報では
- エンジン始動時は普通にエアコンは冷える
- 走行して5分くらい経つと突然冷風が出なくなる
とのこと。
実際に試乗するとお客様の言うような症状がすぐに出ました。
故障診断
始動時には正常にエアコンが冷えるので、故障の原因はエアコンのガス漏れではないようです。
そして故障時の状態でエアコンコンプレッサーが作動しているかを目視でチェックすると、コンプレッサーは作動していませんでした。
ではエアコンコンプレッサーが作動しない原因を突き止めます。
よくあるのは以下の2つ
- エアコンリレー不良
- マグネットクラッチ不良
これは電源チェックで確認します。
結果はエアコンコンプレッサーまでの電源がきているにもかかわらず、マグネットクラッチが作動しないので「マグネットクラッチ不良」が確定しました。
マグネットクラッチ不良
「エアコンコンプレッサーのマグネットクラッチの不良だね!」と言われても「マグネットクラッチって何?」って方も知ると思うので簡単に説明しますね。
ドライバーが求める温度になるくらいの冷風が作れたら、必要以上にコンプレッサーは動かないように制御されています。
そして冷風が足りないと車が判断した場合は、コンプレッサーを作動させ冷風を作り出します。
このように車のエアコンはエアコンコンプレッサーを常にON/OFFさせているのですが、その動力の接続の役割であるマグネットクラッチが正常でない場合コンプレッサーが作動せず、結果冷風が出ないわけですね。
マグネットクラッチが作動しない原因としては
- 摩耗によるクリアランス(ギャップ)の増加
- 電磁コイルの断線
などがあります。
各部品の摩耗が進むと、クリアランス(ギャップ)が大きくなり、電磁石の吸引に反応しなくなり結果クラッチが入らないようになります。
摩耗が進んだプレート
↓
クリアランス(ギャップ)が広くなる
↓
このギャップはシム調整が可能な場合もありますが、摩耗が進んでいる場合は交換が望ましいでしょう。
また電磁コイルの断線は電磁石にならないので当然クラッチの機能はしません。修理には交換が必要になってきます。
マグネットクラッチ交換
今回入庫した車ではマグネットクラッチASSYの交換をします。
交換するマグネットクラッチの部品構成は写真左から
- フィールドコイル
- ローター(プーリー)
- アーマチュア
ローターにはベアリングが入っていますので、ガラガラと音がなる場合ここのベアリング不良の可能性があります。
ここではマグネットクラッチの交換作業の手順などは紹介しませんが、以下のような工具が必要になってきます。
- スナップリングプライヤー
- マグネットクラッチホルダー
- プーリーホルダー
また組付けにはトルク管理が必要だったり、先ほど紹介したアーマチュアのクリアランス調整が必要なことや、車種によってはエアコンコンプレッサーの脱着が必要な場合もあります。
なのでこの手の修理は整備工場にお任せするのが懸命かと思います。
となると、気になるのはその工賃だったりしますよね。
今回修理したフリードのマグネットクラッチ交換の修理費用を、以下にまとめましたので参考にしてみてください。
修理費用は?
マグネットクラッチ交換費用 | |
部品代 | ¥25905 |
工賃 | ¥7480 |
合計 | ¥33385 |
※税込み価格、工賃は1時間¥8500の計算ですが、整備工場によって価格が違います。
修理費用は合計で¥33385になりました。
エアコン修理にしては比較的安い部類に入るかもしれませんね。
とはいえ今回のマグネットクラッチ交換も車種によってはエアコンコンプレッサーの脱着が必要になるケースもあるので、エアコンガスの充てんなど追加作業が必要になります。
車種によって作業工数が変わりますので、必然的に修理費用は上がることになります。
今回のフリードのマグネットクラッチ交換費用は、あくまで参考程度にお考え下さいね。
まとめ
「しばらくするとエアコンの冷風が出なくなる」といった今回の車両でしたが、原因はエアコンコンプレッサーのマグネットクラッチ不良でした。
修理は部品交換が必要で、かかった修理費用は約¥34000。
入庫してきた車は「12年落ち15万キロ走行」と年式も古く走行距離もソコソコ走っているので、やや摩耗が進んでいたかなといった印象でした。
エアコンに関しては今後「エアコンガス漏れ」に注意したいところですが、これははっきりとした対策がないので壊れたら修理をするといったことが一般的です。
できることと言ったら、エアコンに添加剤を入れることくらいですかね。
ワコーズの「パワーエアコンプラス」はコンプレッサーな帯の抵抗を減らすので
- コンプレッサーの耐久性向上
- 燃費向上
- 内部の汚れ分散(詰り防止)
などの効果があるので、修理ついでに添加してもらうのもいいでしょう。
また、カーエアコンの故障修理は高額になる場合がありますので、年式や走行距離、ライフスタイルなどを考えて、「新しい車に乗り換える」と言う選択肢も入れてもいいかもしれませんね。
まずは最寄りの整備工場にて修理見積をしてから考えてみましょう。
高額修理の見積もりが出た場合、以下の記事を参考にしてみてください。