車のエアコンが故障し冷えない原因は多岐にわたりますが、真っ先に思いつくのが「エアコンガスの不足」ではありませんか?
実際整備に携わっていても、エアコンの故障の中で最も多いのがガス漏れによるものです。
しかし「エアコンのガス漏れ」と言っても
- どうやって修理したらいいのかわからない
- ガス漏れってどこから漏れるの?
- どのくらいの修理費用が掛かるの?
など不安もありますよね。
そこで今回はこのカーエアコンのガス漏れについて、解説していきますね。
エアコンガス漏れの症状
まずエアコンのガス漏れをしている場合、どんな症状になるのでしょうか?
エアコンガスが漏れると以下のような症状が出ます。
- 断続的に冷えが悪い
- 全く冷えない
エアコンのガス漏れが原因でエアコンが冷えない場合、断続的に冷えが悪かったり、全く冷えなかったりします。
常に異常な状態が出るということですね。
逆に「良い時はしっかりエアコンは冷えるが、途中で全く冷えなくなる!」などの症状ではエアコンガス不足によるものではない可能性が高い。
よくあるのは
- マグネットクラッチの故障
- リレースイッチの故障
などがあります。
一定の見極める判断になるでしょう。
ガス漏れの原因
ではカーエアコンのガス漏れはなぜ起こるのでしょう?
車のエアコンシステムは
- コンデンサー
- コンプレッサー
- エバポレーター
- レシーバー・ドライヤー
- エキスパッションバルブ
などの部品が使われいますが、この中にエアコンガスが充填されています。
各部の接続にはパイプが使われ、基本的にはエアコンシステムは気密が保たれる構造にはなっているのですが、走行時の車体の振動やゆがみひずみ、微妙な隙間からガスが漏れ出すこともあり得ます。
当然Oリングなどのシーリングが劣化した場合や、経年劣化による部品の損傷などがあればエアコンガスは漏れだしてしまいます。
エアコンガス不足と言っても、長年にわたり微量なガス漏れをしている場合と、部品損傷によってガスが全く入っていない状態など、程度もかなり違います。
余談ですが、新車から3年程度で30%のエアコンガスが減っていた例もありますので、新しい車だからと言ってエアコンガスが減らないとは言い切れません。
エアコンのガス漏れ修理
ではエアコンのガス漏れはどうやって判断するのでしょう?また修理はどのように進めていくのでしょう?
エアコンガス量のチェック
まずエアコンガスを充填したり、ガスの圧力を測定できる「エアコンガスマニホールドゲージ」を用いて現在のエアコンガス圧をチェックします。
この他ゲージを見ることで以下のようなことがチェックできます。
- エアコンコンプレッサーの圧縮不良
- エアコンシステムの詰まり
- エアコンガスの圧力
ゲージでエアコンガス圧をチェックしたら、どの程度の漏れかを判断します。
全く入っていないような状況であれば、漏れている個所の特定をして部品交換をしなければいくらガスを補充してもすぐに再発してしまいます。
またエアコンガスが少しの減少であれば、エアコンガスの補充の選択をする場合もあります。
車が古く買い替えを検討しているケースでは「今シーズンだけ持てばいい」なんてお客様いますので、ケースに合わせた故障修理がいいでしょう。
ガス漏れ箇所の特定作業
エアコンガスが大幅に漏れている場合は、ガスが漏れている場所を特定しなくてはなりません。
ガス漏れの特定は蛍光剤や、(リークテスター)検知器を使います。
エアコンガスリークテスター
リークテスターはガスに反応して音で知らせてくれる機器です。
蛍光剤
蛍光剤はエアコンシステムに蛍光剤を入れ、漏れている箇所を目視で特定をします。
以下の写真はエアコンの高圧パイプの圧力センサー部からガス漏れしています。
蛍光剤をエアコンシステムに入れ、紫外線ライトを当てると漏れている場所がわかります。
パイプ部分が黄色く見えるとと思いますが、これが漏れている証拠です。
ガス漏れの修理方法
エアコンガスの修理方法ですが、「部品交換」と「ガス補充」があります。
エアコンガスの補充は安価な修理費用で済むメリットがありますが、ガス漏れの程度によってはすぐにガスが抜けてしまい、エアコンが効かない症状が再発するデメリットもあります。
また正常なガス量であるにもかかわらず、「エアコンが冷えない=ガス不足」と間違った判断をしてしまいガス補充すると、エアコンガスの過充填となり全くエアコンが冷えなくなってしまいます。年に1度はある事例です。
いかなる場合でも安易にガス補充すればいいだろうと判断せず、プロの整備士に診断してもらい修理するのがいいでしょう。
部品交換の場合は完全に修理ができるのがメリットですが、漏れている部品によっては高額修理になるデメリットもあります。
よく漏れる部品としては以下の3つ
- エバポレーター
- コンデンサー
- パイプ
エバポレーターとコンデンサーはともにラジエターのような形をした部品です。
それぞれ役割は違いますが、部品の腐食により穴が開きエアコンガスが漏れだします。
コンデンサーとエバポレーターは共にそこまで高額な部品ではありませんが、エバポレーターはインパネ内部にあるため交換工賃が高く修理費用が高い場合が多いです。
修理費用については皆さん興味があると思いますので、詳しく紹介しますね。
修理費用
エアコン修理では車の故障の中でも高額修理になりやすい部類です。
ここでは主なエアコンガス漏れの修理費用をご紹介しますので、参考にしてみてください。
故障修理内容 | 料金 |
---|---|
エアコンガス補充 | 0.5万円前後 |
エバポレータ交換 | 5万円~ |
エアコンホース交換 | 1.5万円前後 |
コンデンサー交換 | 3万円~ |
エバポレーターの交換修理は先ほど述べたように、インパネを取り外す必要がありますので高額修理になりますが、車種によって作業性が違うので工賃に金額差があります。
また、外車の場合は「高圧パイプで8万円」など、国産と比べて部品が高い傾向にありますので注意が必要です。
まとめ
今回はガス漏れによるエアコン不良の解説をしてきました。
ガスが漏れる原因としては
- 各部接続部のOリングなどの劣化
- 部品不良
などがあります。
修理方法としては大きく分けて2つ
- ガス補充
- 漏れている個所の部品交換
漏れが少なく、「1シーズンだけ持てばよい」といった場合は、修理代が安く済むガス補充を選択し、漏れがひどい場合やしっかり修理したい場合は部品交換をしましょう。
しかし部品交換の場合、漏れている個所によっては高額修理になる可能性がありますので、プロの整備工場へ見積もり依頼をして修理もしくは乗り換えなども含めて検討するのがいいでしょう。
修理もしくは乗り換えかを迷われた場合は以下の記事を参考にしてみてください。
乗り換えを決断した場合は以下の記事が参考になるかもしれません。賢く車を購入するためのコツが書いてあります。
またほかのエアコン修理の記事もあります。