「車からキュルキュルと音がするので直したい!」
■雨の日にエンジンをかけるとキュルキュルと音がする!
■信号待ちでキュルキュルと音がする!
■加速時にだけキュルキュルと音がする!
こんな経験はありますか?
音が大きいと恥ずかしいのすぐに直したいところですよね。
でも、いろいろ不安じゃないですか?
■キュルキュル音の原因は?
■どんな時に音がするの?
■音をそのままにしておいたらどうなるの?
■修理金額はいくらくらいかかるの?
そんな方たちのために現役の自動車整備士が詳しく解説しますね。
この記事では
実際にキュルキュル音がする車を修理しましたので作業内容をレポートしています。
またユーザーさんが出来るキュルキュル音を直す方法も教えますので愛車がキュルキュルと鳴っている方は観てみてくださいね。
キュルキュル音の原因は?
エンジンルームから出る「キュルキュル音」主な原因はベルトです。
キュルキュル音はいわゆる「ベルト鳴き」と言われるものです。
エンジンにはベルトと言われるものが付いています。
その種類はファンベルト、パワーステアリングベルト、エアコンベルトなどなどがあり、材質はいわゆるゴムです。
エンジンの回転を他の補機類へ動力を伝えるためにエンジンが回っている間は常にベルトも一緒に回っています。そのベルト自体が劣化してくると「滑り」をおこしキュルキュルっと音を出してしまうんです。
劣化の他にもベルト自体の緩みが原因の場合もあります。ベルトのテンションが緩いと滑って音が出るってことですね。
どうすれば直るの?
ベルト劣化の場合はベルトの交換を、緩みが原因の場合はベルトを張ります。
ベルト自体の劣化がある場合交換する以外異音は改善しません。
ベルトのテンションの調整は手動式のものと自動のものがあります。
手動のものはベルトにテンションをかけながら固定します。
自動のものはスプリングなどの力でベルトを押さえつけるオートテンショナーと呼ばれる部品が付いておりこのオートテンショナーの力が弱くなるとベルトのテンションも弱まりますので部品の交換が必要になってくるんです。
ベルト鳴きの原因 | 対策 |
ベルトの劣化 | 交換 |
べるとのゆるみ | 調整 |
音を放置していたらどうなるの?
音を放置していたらどうなるのでしょか?気になりますよね。それは音の原因によって違います。
すぐに走行不能になる可能性は低いですが0とも言えません。
緩みが原因の場合、ベルトがより劣化する恐れや、最悪ベルトが外れる、切れると言ったこともありえますのでベルトが鳴きだしたら整備工場へ持ち込むのが無難でしょう。
どんな時に音がするの?
車のベルト鳴きは様々なシチュエーションで発生します。
- ATシフトのDレンジ時のみ
- 加速時
- アイドル時
- 冷間時
- 湿気が多い日
などなど
車の状態やベルトの状態などによって様々ですからエンジンルームから異音(キュルキュルを含め)がしたら整備工場へ持ち込んでみてもらうのがイイだろう。
自分で出来る対処法
条件によっては自分で音を止めることが出来る場合があるので紹介しておきます。
ユーザー自身ができる対処法としては「ベルトの鳴き止め」のスプレーを吹きかけて音を止めるやり方です。
ベルト鳴き止めスプレーを使うメリットとデメリットは?
メリット
- 即効性がありスプレーした瞬間に音が止まる
- どこのベルトが原因か突き止められる
デメリット
- すぐに音が再発する恐れがある
湿気が原因でベルト鳴きが発生している場合はすぐに音が鳴き止みます。しかしベルト自体の劣化や緩みが原因でしたら根本的なことを解決しない限り再発してしますので、「ベルト鳴き止めスプレー」に過度の期待はしない方が良さそうです。
ちなみに私は下記の鳴き止めスプレーを使用しますが、使用する目的はどこのベルトが原因かを突き止めるためです。
車屋がする修理方法
車屋がする修理では「ベルト鳴き止めスプレー」を吹きかけて直しておきました!なんてことはしません。
必要に応じてベルト調整や部品交換などをやっていきます。実際にやった例があるのでレポートを見てみましょう。
キュルキュル音を直す整備例
車検で入庫のスズキハスラーのキュルキュル音を直しましたのでレポートします。
お客様のご要望は
加速時に「キュルキュルと音がするのでついでに直してほしい」とのことでした。
車種情報
スズキ:ハスラー
型式:DBA-MR31S
年式:27年
走行距離:4万キロ
症状の確認
実際に公道を走行して確認します。お客様の言うとおり、加速時にキュルキュルと音がします。人によってはキュルキュルではなくシャリシャリなんて音で聞こえるかもしれません。
特に坂道などで車両に負荷がかかった時が音が出やすいですね。常に音は出ている状態ですので、修理は比較的楽に進めることが出来ます。
原因の特定
キュルキュル音は9割ベルトだと睨んでいるのですが決定打が無いです。なのでベルトの張り具合を見て多少緩み気味かな?と思ったので調整してみました。
現車はベルト1本もの(1本ですべての補機類を動かしている)で調整は手動のものです。

ベルトのテンションを張って再度試乗しましたがまだ音が出ます。
工場へ戻りベルトが原因かな?と疑いましたが次にやった作業は先ほど紹介した「ベルト鳴き止めスプレー」を吹き付けてみることに。。。
再再度試乗でようやく音が止まりました。
音の原因は100%ファンべルトと言う事がわかりましたので交換することとします。
ベルト交換
ベルト交換は簡単な作業なので割愛しますが、ベルトを外して各プーリーの表面や動きもチェックします。

左:新品
右:外したベルト
目視ではリブベルトの劣化はわかりません。

背側も目視では劣化の判断はできません。

しかし状況から判断するにベルトの劣化が原因だと思われます。
ベルト交換後は当然異音(キュルキュル音)はしなくなりました。
ファンベルトの交換時期は?
現役の整備士の感覚でファンべルトの交換時期を言います。
現在主流のリブベルト(ギザギザになったベルト)の場合、交換時期は5万キロ~10万キロと幅広いです。
基本的にはベルトの内側の目視チェックで交換するかどうかを見極めていますが、車種や走行状態などによって交換時期はバラバラなのが現状です。
今回のクルマもまだ3年4万キロなのに異音がしての交換となりまし、10年10万キロで無交換のクルマもたくさん管理しています。
修理金額は?
キュルキュル音を直すとどのくらいの修理金額になるのでしょうか?
実際にお客さんに請求した額を見てみましょう。
(今回は車検での入庫なので弊社の場合工賃はサービスとなっています)
部品代 | 工賃 | 合計 |
¥3330 | 0 | ¥3330 |
工賃については整備工場の考え方によって違いがありますので、安い高いはあると思います。
日整連の工数をチェックすると「車検時は1.1h」「一般整備時は1.4h」となっていますので、通常は1万円前後工賃がかかると思われます。参考までに。。。。
まとめ
車のキュルキュル音について解説しましたが、あくまでもベルトが原因での音についての解説です。実は原因が違うところだったなんて言う可能性もあり得ますので、エンジンルームからの異音やいつもと違うなと感じたら最寄りの整備工場へ持っていってみてもらうのがイイでしょう。
またファンベルトの調整や交換は12ヶ月点検のチェックすべき項目となっていますので車検だけではなく定期点検もしっかりやっておくことで音の予防できます。
オートテンショナーの不良でカタカタと異音がする車の修理の様子はこちら
