バッテリが上がってしまった時
- 何とかしなきゃ!
- 早く行かなきゃ!
しかしバッテリー上がりの対処は、ある程度の知識がないと車を壊してしまうようなことにもなりかねません。
と焦る気持ちはわかります
この記事では現役の自動車整備士が、バッテリー上がりでやってはいけないことをお伝えしますので、今からバッテリー上がりを対処する方はまずお読みください。
バッテリー上がりでやってはけない6つのこと
さっそく、バッテリー上がりでやってはいけないことを6つお話しします。
バッテリー上がりと決めつける
エンジン始動ができない場合、「バッテリー上がりだ!」と決めてしいまいそうですが、本当にそうでしょうか?
バッテリー上がりを疑う前に、次のことをチェックしてみよう。
- P・Nレンジになっているか
- ハンドルロックしていないか?
- スマートキーは持っているか?
- キーの電池切れではないか?
エンジン始動出来る条件になっているかの確認をしてみてください。PもしくはNレンジ以外ではエンジン始動できませんし、ハンドルロック時も同様です。
弊社に救援依頼する方も、「そもそもキーを持っていなかった」などのケアレスミスなパターンもありました。キーの電池切れと合わせて確認したいところ。
+と-の逆接やショート
バッテリー上がりでジャンピングスタートする場合、最もやってはいけないことは、プラスコードとマイナスコードの逆接続やショートです。
もし万が一プラスとマイナスを間違えて逆接続してしまったら、メインフューズが切れる、電装品の破損、ECUなどの電子制御ニュニットの破損、最悪は写真のように車両火災につながってしまいます。
救済ケーブルの逆接は、やってはいけないと理解していてもやってしまうミスです。指差しなどしながら確実にケーブルをつないでください。
また車両のプラス端子に工具などで作業する場合、ショートさせてしまう場合があります。
これも逆接と同様にメインヒューズ切れなどを起こしますので、絶対にやってはいけません。
メインヒューズが切れると、メインヒューズを交換しない限り、車の再始動ができなくなります。
バッテリーの長期放置
バッテリー上がりの車を長期放置してはいけません。
バッテリーの充電状態がが弱いまま放置すると、バッテリー内部の素材が劣化しバッテリーの寿命が短くなります。
そうなるとバッテリーを充電しても満充電まで回復せず、再使用できなくなります。
救済後すぐにエンジンを止める・電装品を使う
ジャンピングスタートでエンジンが再始動できた場合、すぐにエンジンを止めてはいけません。
ジャンピングスタートでのエンジン始動はあくまでも応急処置です。この段階ではバッテリーは100%回復していないので、すぐにエンジンを切ってしまうと自力で再始動ができません。
最低でも30分程度の通常走行をする、もしくはそのままエンジンを切らず、整備工場へ入庫させるのがベストでしょう。
また救援直後に電装品を使うこともNGです。
ブレーキランプ、ワイパー、エアコン、ハザード、ヘッドライトなどたくさんの電気を使ってしまうと、エンストしてしまい再度救援処置をする羽目になります。
バックアップを取らないバッテリーの交換
バッテリー上がりをした場合、ジャンピングスタートではなく、直接バッテリーを交換をする方もいると思います。
その場合、バックアップを取らずにバッテリー交換はやってはいけません。
バックアップを取らないと、蓄積された学習値がリセットされ、車種によっては以下のような問題がでます。
- エンストするようになる
- ナビが使えなくなる
- 自動ブレーキなどの安全装備が使えなくなる
- パワーウインドウのオートが使えなくなる
スロットルボディにカーボン汚れがあると、学習値リセットによりファーストアイドルの時の空気量が変化し、アイドリングが低くなりエンストしてしまいます。
ナビゲーションがリセットされると、パスワードを求められることがあり、このパスワードがわからないと、すぐにナビゲーションが使えなくなります。
パスワードの再発行はディーラーでできますが、時間かかり手間になります。
一部車種では追突防止のレーダーの再学習が必要になり、一時的に使用できなくなります。
またパワーウインドウのオート機能も再学習が必要となります。
このようにバッテリー交換時にバックアップ電源をとりながら作業しないと、様々な問題が生じ厄介です。
知識のない方の作業
これまで紹介したように、ジャンピングスタートやバッテリー交換の作業は様々な危険があります。知識がない人や自信のない方は作業をせず、有識者やプロに任せるのが無難でしょう。
バッテリー上がりの正しい対処方法
バッテリー上がりでやってはいけないことをご紹介しましたが、正しいバッテリー上がりの対処法をお伝えしますね。
バッテリー上がりの原因を究明
まずはバッテリー上がりの原因を究明したいところ。バッテリー上がりの原因は様々だからです。
そしてその原因によっては、ジャンピングスタートによる再始動後に走行がOKな場合と、NGな場合がありますのでチェックしておきましょう。
原因 | 再始動後の走行 |
---|---|
電装品のつけっぱなし | OK |
バッテリーの劣化 | OK |
バッテリー内部ショート | NG |
オルタネータによる充電不良 | NG |
ライトやルームランプのつけっぱなしはバッテリーの一時的な放電ですので、再始動して走行しても問題はありません。またバッテリー劣化によるバッテリー上がりも走行OKです。
しかしバッテリー上がりの原因が、バッテリー内部不良(ショート)やオルタネータによる充電不良の場合は、走行ができません。
バッテリー内部不良(ショート)では電圧が安定しいないため、走行中エンストする可能性があります。
オルタネータが故障して充電できない場合は、ジャンピングスタート後すぐにエンストしてしまいます。
なお、この原因究明にはテスターを使っての作業が必要です。
ロードサービスへ依頼する
「バッテリー上がりでやってはいけないこと」でお伝えしたように、作業には危険がたくさんあります。
また、バッテリー上がりの原因究明にはテスターや知識が必要で、場合によっては走行できない可能性があるんです。
これらを総合的に判断すると、バッテリー上がりを起こしてしまったらロードサービスに依頼しプロに任せるのが最良の選択となります。
ロードサービスは自動車保険に付帯していることが多く、そのサービスは無料で受けれることがほとんどです。
サービス内容は保険会社によって異なるので、ご自分の契約している保険会社に確認するのが良いでしょう。
ロードサービスではすぐに修理が必要なのか、そのまま走行して大丈夫なのかの判断ができるのでお任せしましょう。
自分でバッテリーケーブルを繋ぐ場合
ロードサービスが来るには時間がかかりすぎる場合や、緊急を要する場合は自分でバッテリーケーブルを繋ぎ、再始動を試みるケースも当然あると思います。
トラブルにならないように、正しい接続方法でジャンピングスタートしましょう。
画像引用:国土交通省北陸地方整備局
正しいジャンピングスタートの順番は以下の通りです。
エンジンがかかったら少し回転を上げてバッテリーを充電してあげましょう。この時、余計な電装品は極力使わないようにします。
アイドリング状態では十分な充電が行われないため、エンジンのアイドリングが落ち着いたら、30分程度走行するのが望ましいです。
放電したバッテリーの充電もしくは交換
バッテリー上がりをしたバッテリーは、性能を著しく低下させてることがありますので、状態を診て交換や補充電するのがベストです。
バッテリー劣化があるのもは交換が必須ですし、劣化がないバッテリーに関しても補充電して満充電することが望ましいです。
しかしそのバッテリーの状態チェックには、専用のバッテリーテスターが必要なので、整備工場で診てもらいましょう。
バッテリー上がりを未然に防ぐ
バッテリー上がりをすでに体験した方は、「バッテリー上がりはもうこりごりだ!」と思われていると思います。
そこでバッテリー上がりを未然に防ぐよう、日々のメンテナンスをしっかりしておこう。
- バッテリーの定期交換
- バッテリーの補充電
バッテリー上がりを未然に防ぐには、バッテリーの定期交換が望ましいです。バッテリー交換の目安ですが以下を参考にしてみてください。
交換目安 | |
---|---|
通常用 | 3年 |
アイスト用 | 5年 |
自動車整備士の経験上、上記の交換目安でバッテリーを交換しておけば安心です。
アイドリングストップ用のバッテリーは、通常のものと比べ容量が大きいので、交換時期も長めになります。しかしその分値段も高くなっています。
また普段、車に乗る機会が少ない方は、定期的にバッテリーを充電するのがいいでしょう。
車のバッテリーはエンジン停止時でも、セキュリティなどで微量な電気を使用しており、バッテリーの電気は常に消費されています。
普段車を使用しないとバッテリーに電気が充電されないため、消耗する一方です。本来は車を定期的に動かしてあげるのが一番いいですが、なかなかそうもいかない方もしらっしゃるでしょう。
そこで、定期的にバッテリーを充電してあげることで、いざという時のバッテリー上がりを未然に防げます。
バッテリーの充電は整備工場にお任せしましょう。
もしもの時の備え
バッテリー上がりは突然起こるものでなかなか予測が難しいです。なので普段からの整備も大切ですが、備えも大切です。
- ロードサービスの内容と連絡先の確認
- ブースターケーブルなどの装備
まずバッテリー上がりをしたら、プロに任せるのが無難です。先述しましたが、自動車保険に加入していれば無料でロードサービスを受けれることがほとんどなので、今一度ご自分の契約内容を確認しておきましょう。
また車検証入れなどにロードサービスの連絡先を入れておくといいでしょう。
ロードサービスの付帯がない場合には、JAFの入会の検討をしてください。
またブースターケーブルを備えておけば、自力でバッテリー上がりの解消ができます。救援車が近寄れないことも想定して、最低でも5mの長さが欲しいところ。
またモバイルバッテリー型のジャンピングスターターもあると便利です。
こちらはスマホの充電やLEDライトも使用できるので、災害時にも役立つので車に1つ入れておいてもいいでしょう。